ハラスメント全般
職場のハラスメントの変化を読み取る(2020年から2023年の変化)
令和2年度(2020年)と令和5年度(2023年)のハラスメント実態調査を比較すると、意外な結果が見えてきました。企業への相談は増えているのに、被害を経験した人は減っている――この一見矛盾した状況から、何が読み取れるのでしょうか。
数字で見る変化
企業側:相談件数が急増
- パワハラ相談:48.2% → 64.2%(+16ポイント)
- セクハラ相談:29.8% → 39.5%(+9.7ポイント)
- カスハラ相談:19.5% → 27.9%(+8.4ポイント)
労働者側:被害経験は減少
- パワハラ経験:31.4% → 19.3%(-12.1ポイント)
- セクハラ経験:10.2% → 6.3%(-3.9ポイント)
- カスハラ経験:15.0% → 10.8%(-4.2ポイント)
なぜこんな変化が?
法改正により、企業にハラスメント相談窓口の設置が義務化されました。その結果、今まで見過ごされていた問題が表面化し、相談件数が増加。同時に、企業の予防策が効果を上げ、実際の被害は減ったと考えられます。
一方、深刻な問題も浮き彫りに
「何もしなかった」が増加
セクハラやカスハラの被害を受けても「何もしなかった」という人が増えています。特にセクハラでは39.8%から51.7%へと大幅増加。
「何もしなかった」理由は?
「何をしても解決にならないと思ったから」が最多(65.6%)。相談窓口への信頼が低いことが浮き彫りになっています。
パワハラの内容の変化
「精神的な攻撃」に加え、「過大な要求」(無理な業務の押しつけ)が33.3%から38.8%に増加。業務目標の設定や長時間労働の改善が追いついていない可能性があります。
認定後の対応が後退
パワハラと認定されても「何もしなかった」企業が6.4ポイント増加。問題解決の実効性が低下しています。
企業が今すぐ取るべき対策
1. 相談窓口の信頼回復
- 認定後は必ず対応を実施(謝罪、懲戒、配置転換など)
- 相談担当者の研修を強化し、対応力を向上
2. 判断基準を明確に
- 「これってハラスメント?」のグレーゾーンを減らす
- 業務指導とパワハラの境界線を具体的に示す
- 管理職への実践的な研修を継続実施
3. カスハラへの特化対策
- 対応マニュアルの作成と周知
- 精神的ケア体制の整備
- 毅然とした対応方針の明確化(出入り禁止など)
まとめ
ハラスメント対策は「入り口」は広がりましたが、「出口」(問題解決)が弱いのが現状です。相談窓口を設置するだけでなく、実際に問題を解決し、被害者をサポートする体制づくりが急務と言えるでしょう。
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この記事は以下のレポートを参照し作成しました。